祭り

―鐘鼓が小槌で打ち鳴らされて
その音が山向こうの家にまで響く
山火事が空から降って来たのかと
見違う程まで染み来る夕陽は
高鳴らされたものさ
子供ながらに叫んださ
降れや降れや
降れよや雨よい
実れ実れや
はちきれさせろい
烏賊焼きもモロコシもありゃしない
リンゴ飴なんぞ知りもしない
御詞終えて奉り終えて
その後練った小麦粉を
水で伸ばして鉄板で焼くんだ
醤油ぶっかけ
ただそれだけを
皆でむさぼり食ったんだ
箸 強く握り締め

六月灯の灯りが揺れる
水面の近くでぼやりと一人
棉飴を頬張る私の目に
恩師の言葉が
川の灯りと共に流れる

食べかけのリンゴ飴が
川の灯りを断ち切り流れた。
水面の灯りはぼやりと揺れて
吊された灯籠の輪郭は崩れ
烏賊焼きとモロコシの匂いが満ちる
祭りの今日にピタと合う

甲高く不協に響く
後ろから来るカップルの声。 生活が、
祭りをせねばならない時が、
確かにあった。
恩師の言葉は心地よく響き
カップルの笑い声を流し行く。
山向こうの家には届かぬこの祭り
夕陽が今日は染み来たろうか
擦ったマッチ位には降って

食べ終えた棉飴の
芯の割箸を握り締める
恩師の言葉を打ち鳴らす
鐘鼓も小槌も私は持たない
叫ぼうとしようとも
今の生活に声は出ず
思いが溢れる
子供の無さを自分に思う。
ボヤり揺れる水面の灯り
恩師の頃とは違う重さの
箸を 私は
手の中強く 握り締める

推敲前


詩は需要は無いが供給量は多い。
最近、ため息をお湯割りで飲み干すと、必ずくる翌日の吐き気にボンヤリ呆けるだけだった。

ため息はやはり吐かなきゃね。

ため息を吐ききった私。吐く途中の私。飲み干した私。

どれかの私がそんな日を綴っていく。
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# by ayamati-hirakawa | 2005-07-10 23:31 | 喜 詩 | Comments(0)

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# by ayamati-hirakawa | 2005-07-10 20:24 | 喜 詩 | Comments(0)