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お知らせ(「音楽とシュルレアリスム」について


「音楽とシュルレアリスム」について

現在、詩誌「Eumenides Ⅲ」に『なぜ「シュルレアリスム運動」は音楽を扱いこなせなかったのか」という論考を連載しています。「シュルレアリスムと音楽」に関しては過去に殆ど書かれていない分野であり調べれば調べるほど今、研究しなければならない領域だと思うようになってきました。

私は、楽譜を研究していて詩作を楽譜の解析と共に行っています。「音楽史」を紐解くと「シュルレアリスム」は殆ど出て来ません。「シュルレアリスム運動」で「音楽」は展開されなかったというのが通説だったからです。運動の主導者ブルトンは音楽を忌嫌い弾劾しており「絵画」など「視覚的芸術」のみを運動内で展開していきました。


では日本で「シュールだ」「シュルレアリスムだ」と言われている武満徹は、シュルレアリスムの流れから見ると、どういう位置にあるのでしょうか。またケージは、どうなのでしょう。そもそもブルトンは本当に音楽が嫌いだったのでしょうか。

第1回では、詩人ギヨーム・アポリネールが創った「シュルレアリスム」という言葉のそもそもに作曲家エリック・サティがいることや、ブルトンが音楽弾劾中も好んで使った音楽的比喩と態度の矛盾を音楽史と共に考察していっています。既に提出した第2回の原稿でも、これまでになかった「シュルレアリスム」像を紐解いていきます。

なぜ「音楽」とブルトンが決裂したのか、その瞬間に迫っていき20世紀音楽とは何かを見ていきます。第三回は現在、執筆中ですがベルギー・グループと後年のブルトンについて書く予定です。資料が未邦訳のものが多いため、なかなか大変ですが、やりがいがあります。

現在、日本で「音楽とシュルレアリスム」に関しての書籍が、無いので連載終了後も研究を続けられたら、と思っています。楽譜を読んできたことと詩作に励み文学史を学んできたことが、ここで交わるとは思ってもみませんでした。

鍵となるのは、やはりサティです。楽しんでいただけたら、と思います。よろしく、お願い致します。また連載終了後などに「シュルレアリスム」にも「音楽」にも影響を与えた19世紀の日本について、いつか書けたら、と思っています。詩作品ともども是非よろしく、お願い致します。
by ayamati-hirakawa | 2015-06-25 02:43